合格者の声


一人よりみんなと勉強したほうがいい

4級合格  津島 類

 ぼくは,小学6年生です。昨年,準4級を合格した時に「合格者の声」にのりました。(題名「無理だと思わずやってみよう」)
 今回はなんと4級に合格しました!ぼくが4級を受験しようと思った理由は,合格するととても良い気持ちになるからです。準4級に受かった時に,「勉強した甲斐があったなー」と思いました。「何かに合格したらこんなに良い気持ちになれるんだ!だからもっと受けよう!」とも思いました。だから,ぼくは4級を受験しようと決意しました。
 4級の勉強は準4級の勉強よりおそらく10倍以上はしたと思います。はじめは準4級と同じように単語を覚える必要がありました。単語を覚える時はノートに何回も何回も発音しながら書きました。本当のことを言うと結構めんどくさかったです。でもそのめんどくささを乗り越えたからこそ合格できたと思います。やっぱり発音することと書くことが,4級に合格するコツだと思います。だから,これから4級を,いや,どの級を受ける人でも単語などを覚える時のめんどくささをのりこえて,試験に向かって頑張りましょう!
 ぼくが特に難しいと思ったところは,“”です。“”は,動詞と補語をくっつける接着剤のような働きをします。その“”をどこに入れるかがポイントで,例えば,「彼女は歌を歌うことが上手だ」という文を中国語に訳してみると“她唱歌唱得很好”となります。このような日本語を中国語に訳す問題は,中検の最後の問題に出ます。でもぼくは,“”をどこに入れるかいつも迷ってしまいます。
 そして,ぼくがもう一つ頑張ったことは,中国語を人前で発音することです。ぼくは今年,中国語のスピーチコンテストに2回出場しました。1回目に参加したコンテストでは,日本語で文章を考えて,それを中国語に訳した文章を読むというものでした。タイトルは「ぼくに中国語の面白さを教えてくれた友達と先生」で,中国語の先生と一緒に行った“卡拉OK”(カラオケ)や台湾の友達と月餅作りをしたことや,“烧烤”(バーベキュー)をしたことについて書きました。スピーチコンテストは暗唱しなければならないので覚えるしかありません。特に難しかったのはピンインです。まだ習っていない単語や難しい発音があったので,完璧に読めるまでには長い道のりがありました。そして当日,ぼくはとても緊張していました。会場には80人ほどのお客さんがいました。大勢の知らない人の前で何かを発表したことがぼくにはありませんでした。いよいよ発表の時,ぼくは緊張を忘れて,発表のことだけに集中して,頭の中に浮かんだ台本を読みました。意外にすらすらと読むことができました。そして,なんとぼくは「審査員特別賞」に選ばれました!頑張った甲斐があったと思いました。
 2回目のコンテストでは朗読部門に出場しました。その時は,1回目の時に経験した緊張感が薄れていました。1回目に緊張しまくったからだと思いました。それでも,2回目のコンテストに出場するためには何回も何回も声に出して練習しました。ステージに立つと,1回目の時より観客が10人くらい多かったです。少し緊張感があったからか,自己紹介を言うのを忘れていました。しかし,最後まで踏ん張ってすらすら発表することができました。そして,「総領事館賞」に選ばれました。その時の達成感はすごかったです。どちらのコンテストもぼくみたいな小学生はあまりいませんでした。そして,どちらでも,ほかの参加者の人から「小学生なのにすごいねぇー」と言われました。だから,ぼくはとても自信がつきました。「小学生だからすごい」と言われて良かったわけではありません。「すごい」と言われて初めて自信がついたのです。だから,ぼくみたいな小学生の子がいたら,今度はぼくがほめてあげたいと思いました。
 この文章には,スピーチコンテストのことをたくさん書きました。一見すると中検とあまり関係ないと思うかもしれません。しかし,とても関係あるのです。一人で机に向かって一生懸命勉強するのも良いですが,スピーチコンテストに出場すると,自分と同じように頑張っている人の姿を見ることになります。そうやって,ほかの人がどうやって勉強しているかを見ることはとても意味があると思います。だから,これからもスピーチコンテストなどに参加して中国語を勉強していきたいと思います。3級は難しいと思います。でも,受かった時には頑張った分だけうれしい気持ちになるので,3級を受けるために頑張ります!

中国語検定1級合格体験記

西安交通リバプール大学 現代言語センター講師 田添 暢彦

 2022年1月,3度目の受験で中検1級に合格しました。コロナ禍の中,Zoomでの二次試験を終えた後,私はしばらく放心状態でした。前年,諸事情で二次試験を棄権し,2年越しの準備をして臨みました。ひとまずその実力の全てを出し切ったという思いでした。2週間後,立派なケースに入った認定証書が届きました。中国語が趣味の勉強から生活の一部に,そして人生の一部に変わったこの2年間の様々な思いがこみ上げてきました。
 私は学生時代に南寧に留学し,その後,広州や三亜など合わせて3年半ほど中国で暮らしました。それなりに話せるようになり,通訳案内士などの資格を取るとそのレベルで満足してしまい,あたかも中国語が出来るかのような錯覚に陥っていました。しかし,ある時中検1級の過去の問題を見て自分のレベルを思い知り,これではいけないと一念発起し,受験を決意しました。
 さて,やる気にはなったもののどう対策を立てればよいのでしょう。本屋さんで探しても1級対策用の参考書というものは,ほとんど見当たりません。つまりは付け焼刃の試験対策では太刀打ちできないということだと考え,とにかく知らない表現に出会ったら何でも覚えるということにしました。忘れるのは仕方がない,でも一度は必ず覚えるということを繰り返しました。これまで馴染みのなかった表現でも,多読乱読を繰り返すうちに2回3回と目にするようになってきました。これまで「ここまでは必要ないかな」と勝手に線を引いていた部分も,実はネイティブスピーカーにとってありふれた表現なのだと気づくこともありました。特に成語は繰り返し覚えました。また,語学だけではなく,中国の歴史文化や文学についても中国人にとって当たり前のことは当然分かっていなければならないと思い,理解を深めるよう心がけました。
 1回目,2回目の一次試験でも,決して準備を怠っていたわけではありません。しかし,とにかく1級は合格基準点が高く,あと少しというところで手が届きませんでした。3回目で通過できたのも本当に紙一重のところでした。地方での一次試験を通過し東京・大阪の二次試験に望む私の心境は,まるで郷試を通過して都に登り殿試に臨む書生さんのようでした。しかし,2021年1月,折しも東京には非常事態宣言が発令され,重症化リスクのある家族の安全を優先しこの回を棄権し,翌年のチャンスでの一発勝負に臨みました。
 ところで,一次試験通過発表から二次試験までは1か月もない上に年末年始を挟みます。松の内が明けるとすぐに本番です。今後受験される方は,一次で手ごたえがあったならば結果通知を待たず,直ちに二次試験の準備を始めることをおすすめします。
 2年越しで迎えた二次試験はZoomでの受験となりました。これでしくじれば,また一次試験からやり直しです。極度の緊張の中,試験は始まりました。最初は中国語から日本語への通訳です。毎日メモを取りながらNHK中国語ニュースを聞き練習していたおかげで,比較的自信を持って通訳でき,緊張も取れてきました。後半は日本語から中国語への通訳です。中国語訳にはもともと苦手意識があり,最後の方は体力的にもへばって集中力が切れてくるのを感じましたが,しどろもどろにならないようなんとか最後まで踏ん張りました。終わってみるとあっという間でした。
 実はウェブサイトに公表される合格発表で自分の番号を見落としており,てっきり不合格だと思い次回への準備を始めていました。しばらくすると,協会から大きめの書類が届き,開けてみると立派なケースに入った認定証書でした。「よく頑張ったね」と祝福されているような気がしました。本当に嬉しいサプライズでした。

新しい言語とキリのいい数字

4級合格 京都両洋高等学校 中條 杏美

 担任の先生から「中国語を学んでみないか」とすすめられた。確かに英語以外の言語に触れてみたいとうすうす思ってはいたが,その対象はヨーロッパ言語であった。ただ,こんな機会は将来滅多にないだろうと思い,中国語を教えてもらうこととなった。これが中検を受験するきっかけであった。自分の学校には幸運にもネイティブの先生や中国語に精通している先生,中国から留学しに来た友人がいた。だから発音などを教えてもらうのはそう難しくなかった。4級を目指して勉強していたが,学ぶことが多く,覚えるのがとても大変であった。特に文法は英語と比べ異なる部分があった。英語と絡めて勉強しようと思ったために少し文法に混乱した。それでも学んでいくうちに読めなかったものがだんだんと,なんとなくではあるが意味が分かるようになってきた。
 自分の中で中国語がただの異世界の言語ではなくなってきているように感じた。中国語の世界に入り込むのはそんなに時間はかからなかった。ある日勉強していると,ふと過去問が第74回のものだということに気が付いた。そこで自分の受ける時期は第何回なのだろうと思い,調べてみるとなんとちょうど第100回であった。さほど気にしてはいなかったが,100回目の検定で受かったら合格証書を見るたびにさぞ清々しい気持ちになるだろう,と少々思っていた。
 コロナウイルスのせいで本来受験する時期に挑むことができなかったが時間が増えたおかげで奇跡的に第100回にて合格することができた。ほぼほぼ協力してくれた友人や先生方のおかげである。特にネイティブの先生や友人は日本語が達者で,母国語でない中国語を勉強するにあたって希望の光だった。会話することはままならずとも読めるように,聞き取れるようにはなりたい。とても素敵な機会をもらえた。次回は3級を目指したい。もう少し言うなら第111回の検定にも挑戦できるように勉強を続けていきたい。

準4級に合格して

関東学院大学人間共生学部 篠田 結

 私は大学1年生の時に「中国語圏の生活と文化」という講義を受け,中国語に大変興味を抱きました。中国語が話せるようになれば,世界中のたくさんの人と関わる機会を増やすことができ,人の輪を広げることで自分自身の視野も広げることができると思いました。
 半年前から勉強を始め,担当の山田先生からお聞きした中国語学習方法を実践しました。具体的には教科書のCDを朝や寝る前の5分間などを使って毎日聴き,耳で聞いて勉強していきました。少しずつ耳が慣れてきたら,聞いて覚えたことを実際に紙に書いて単語を覚えていきました。学んでいくうちに覚えた単語を駅や街で見つけたときに,少しでも理解できるようになることが嬉しく,中国語を学ぶ楽しさにぐいぐい引き込まれていきました。また,駅などで中国語のアナウンスはまだまだ聞き取るのが難しいと感じたときに,もっと勉強して理解できるようになりたいと思うようになりました。実際に検定試験に向け,授業中や自宅で過去問から最新の過去問までいろいろな問題を何度も解くこと,解いてみて間違えた部分をとにかくたくさん紙に書いて覚えることを繰り返しました。
 まだまだ中国語の勉強を始めたばかりでスタート地点ではありますが,いずれは言語が違う方たちとも自信を持ってコミュニケーションが取れるように,さらに4級の合格を目標にさらに勉強していきたいと考えています。

根性

3級合格 中小原 里奈

 私は,中国語を学び始めて半年で3級に合格しました。これは自慢でも何でもありません。誰でも,根性さえあれば,3級は合格できるということを実証しているのです。
勉強を始めた頃は,リスニングは全くと言っていいほど聞き取れず,私はとても悔しい思いで毎日を過ごしていました。
 ある日,どうしたら聞き取れるようになるのか先生に尋ねてみました。すると,「毎日,同じテープでも良いから,テープがすり切れるくらい中国語を聞きなさい。」というアドバイスをいただきました。それから,先生のおっしゃるとおりに,毎日同じテープを朝,昼,晩,テレビを見ている時も,食事をしている時も,また入浴している時でさえ流していました。それを,1か月1日も欠かさずに続けていました。
 すると,ある日突然,中国語が日本語のように聞き取れるようになりました。それからというもの,他のテープを聴いても,わからない単語以外は何とか聞き取れるようになりました。
 私が皆さんに伝えたいことは,「できない」,「わからない」くらいのことで,すぐにあきらめてはいけないということです。誰にでも,大きな壁にぶち当たることがあります。そこで,「負けないぞ」という強い意志と燃え上がる根性があれば必ずや,壁を乗り越えることができるでしょう。

3級に合格して

新潟国際情報大学国際学部国際文化学科 永井 美香

 私は大学では中国語を専攻しています。きっかけは,ドラックストアでのアルバイトです。登録販売者資格を取得したことで,その分野の漢方薬に興味を持ちました。漢方薬の発端は東洋医学,つまり中国にありました。そのため,漢方薬を極めるには中国について学ぶ必要があると思い,自分が国際学部という点もあったため,中国語を専攻することを決意しました。
 新しい言語を一から学ぶことは難しく,特に発音には手こずる日々でした。中国語を約2年学び,私はあることを決意しました。それは中検を受験することです。先生は「せっかく中国語を学んでいるのだから,その証明になる資格は絶対取った方が良い」とおっしゃっていました。来年から就職活動が本格的に始まります。その中で,資格というのは自分が頑張ってきたことを証明できるものだと思っており,大学でがんばってきた中国語も学んできた証として結果として残したいという思いが強くなり受験を決意しました。
 約1か月,独学で励みました。わからない所は先生に細かく指導していただき理解を深めていきました。また,ひたすら辞書を読み込んで,過去問は何度も解きました。ピンイン,声調は辞書を読み込んだことで自信がつきました。リスニングは実際に先生と会話練習をして日常的に耳を慣らしておくようにして対策しました。その結果,第99回中検3級に無事に1回で合格することができました。今まで学んできたことが証明できる資格として残せたことが何より嬉しいです。
 ドラックストアでは,中国人のお客様も多いので活かせる環境があることもまた中国語をさらに極めていきたいと思うところです。これからも中国語を学び,さらに高みを目指していきたいです。

私の中国語学習方法

3級合格 専修大学 相澤 友紀

 大学入学後に中国語の勉強を開始し,2018年11月の試験で3級を受験しましたが,リスニングが全く聞き取れず不合格になってしまいました。
 そこでリスニングの力を高めようと,中国語の歌を聴いたり,色々試しました。一番効果を感じたのは「Netflix」で中国のドラマを中国語の音声と中国語の字幕で見ることでした。内容のわかりやすい日本作品のリメイク版から見始め,1話ごとあらかじめ日本語で内容を理解した後,ひたすら中国語の字幕と音声で見続けました。さらに,自分もブツブツとセリフを追いかけながら声に出してみると,自然と中国語のリズムや声調が身についた気がします。バラエティなども中国の番組は字幕がついていることが多いので,楽しみながら勉強しました。
 その後大学の春休みを1か月利用して北京に留学しました。授業も日常会話も話すスピードが速くて聞き取れずとても苦労しましたが,中国の文化に触れることができてとてもいい経験でした。
 そして2019年6月の試験で3級にリトライし,あんなに聞き取れなかったリスニングがスラスラ入ってくるようになりました。全文聞き取れなくても,ドラマを見ていたお陰で知っている単語の数も増え,聞き取れた単語を繋ぎ合わせて内容を推測することができるようになりました。これからも日々勉強を続け,次の試験で2級に挑戦し,身につけた語学力を自分の生活の中で生かしていきたいです。

2級に合格して

関東学院大学人間共生学部コミュニケーション学科 渡邊 智子

 私は大学2年生の秋にはじめて中国語に出会いました。中国語の魅力に引き込まれ,1年半という短い期間ですが,2級に合格できたのは以下のことによると思います。
 まず初めに学習法ですが,一番有効的だったと思うのは中検の過去問を繰り返し解いていくことです。具体的には過去問を10回分,分からない問題や単語は1つもないようにしてから受験をしました。どの過去問を解いても満点が取れるように繰り返し勉強することが大切だと思います。毎回の受験目標に向け,学習計画をあらかじめ立てることも大切だと考え,毎朝,その日の勉強範囲を決め学習意欲の持続に心がけていきました。
 次に,中国人と積極的に交流したことだと思います。私は自分の中国語は下手で恥ずかしいと思っていましたが,恥ずかしいと思っていると,いつまでたっても成長することができないと気付きました。中国語を学ばなければ分からなかった中国の良さや中国人の優しさにふれることができました。
 最後ですが,中国語を学ぶ楽しさを教えていただいた先生の存在です。中国語学習を通じて,挑戦する勇気の大切さも教えていただきました。学外の中国語弁論大会では自分よりもレベルの高い人を見て刺激を受けることができ,中国語作文コンクールでは「なぜ中国語を勉強するのかを自身に問いかけ,夢を明確にしていくこと」ができました。中国語を学ぶ中で思うように進まず苦しい時,いつも私の背中を押してくださった先生がいたことが,私の自信につながっていきました。
 私は将来日中友好の人材となってすべての方に恩返しをしたいと思っています。感謝!

2級に合格して

歯科医院開業 S

 この度8回目の挑戦で2級に合格することができました。
 本来の目標は「50歳までに合格」だったのですが,どうしても筆記試験にしか合格できないことが4回も続きました。思考能力が低下しないうちに,リスニング試験に合格するにはどうすればよいか。フェイスブックなどで知り合った中国語に詳しい方からのアドバイスを仰ぎながらも独学を貫いて参りました。
 まずは,2級リスニング試験の過去問,HSK5級の長文問題の朗読CD,中国語ジャーナルの付録CDなどをカーオーディオにどんどん録音し,通勤中往復の自動車の中で毎日ひたすら聞きつづけました。お昼休みは昼食をとりながら中国語関連のユーチューブ鑑賞。休日を自宅で過ごす時は,実力養成通信添削講座2級挑戦コースのやり直しをしました。そうするうちに,ある程度のスピードの会話でも内容が理解できるようになってきました。
 では,なぜそこまで中国語を勉強し続けようと思ったのか。
 私は普段,歯科医師として日々患者様に接しておりますが,この10年ぐらい中国人の患者様が来られることが増えてきました。中には日本語が全く分からない方も来られるので,状況をお尋ねする際に簡単な片言を使い出したことがきっかけとなりました。そのうち自分の語学能力も知りたくなり英語に英検があるのなら中検もある筈だと思い調べたところ,貴会で検定を行っておられることを知り受験を決意しました。
 今から6年前の中検3級を取得した年に,医学交流で上海に渡航する機会があり現地の先生方の前で簡単な中国語の自己紹介を行ったところ,お褒めをいただけたこともモチベーション向上につながっています。そこから何度か訪中していたある時,歯科大学の付属病院の院長先生から日本人の歯科医師として少し病院で働かないかと勧められました。
 実際はかなり躊躇しましたが,なかなかこのようなチャンスは滅多にないと考え,現地での就業許可証の取得に係る手続きを始めました。
 そしてこの度,遂に2級の合格証を手にすると同時に上海の同済大学附属口腔医学院で日本人として歯科診療が行える就業許可証の取得に至りました。

準1級に合格して

木原 将太

 第98回試験でようやく準1級の合格を果たすことができた。
 通訳者,翻訳者や中国を専門に研究する研究者の方々は,はるかなる1級を目指す方が多いはずだが,私も含め,これに当てはまらない実務家や学生の多くにとって,現実的な最終目標は準1級であると思う。そこに到達できたことで,喜びと同時に「次は何を目指せばよいのだろう」というような戸惑いの気持ちも正直ある。
 私と中国語との出会いは2013年,今から6年前の27か28歳のころであった。当時の私は“ 你好”と“再见”しか知らない状態で中国上海に職を得て,機上の人となった。当然生活がスムーズに進むわけはなく,体調を崩しても病院へのかかり方が分からず,引っ越しをしようと思っても当地の習慣が分からず,ビザの問題で公安局に呼ばれても何を指摘されているのか見当がつかないという有様で,中国語ができない自分を恨む毎日であった。振り返れば,中国語の学習を続けてこられた原動力はここにあると思う。その後,1年ほどで帰国すると,あれだけ苦痛だった中国語(と中国人と中国菜)が恋しくてたまらなくなる。その恋しさを癒やすことができる素晴らしいテレビ番組,“ 舌尖上的中国”に出会い,何度も繰り返し見続けた。仕事のストレスでつらい夜も,中国語と中国の生活の音を聞けば,自然に眠りにつくことができた。日々の生活に“中国成分”を追い求めるうち,リスニング能力を中心として,中国語力は自然に向上していったように思う。
 「資格の一つでも取っておけば,履歴書の飾りになるかな」と軽い気持ちでHSK6級を受け,特に対策することもなく230点を取得。これなら中検も余裕だろう,と調子づいて受験したところ,2級はスムーズに合格したものの,準1級には全く歯が立たない。特に初回受験の点数はひどいものであった。
 その後,実務で中国語を使う機会はあまりない中,継続して中国語能力を高めようとする気持ちを保てたのは,中検のおかげであった。次の目標は見いだせずにいるが,準1級合格をもって最終ゴールに到達した,と考えることもまたできない。なぜなら,苦労して準1級に合格するようなレベルの人は,ほぼ例外なく「まだスタート地点に立ったばかり」だからだ。
 最近中国人の友人から「中国語うまいね」と言われなくなった。そのかわりに「こんな簡単な古詩も知らないのか」「お前と話すときは成語が使えなくて面倒だな」などとからかい半分に言ってもらえるようになった。これは「ようやくスタート地点に立った」ことを意味していると思う。スタート地点に立てたことをうれしく思うし,この先が文字通り永遠に続くことを半ばうんざり,半ば楽しみに感じている。 この先どう学習を進めていくか,目途は立っていないが,この「本当のスタート地点」まで連れてきてくれた中検にはとても感謝している。

準1級に合格

中央大学 紅 希美

 初めて中検にチャレンジしたのは,高校3年生の時でした。
 中検を受験しようとした理由は,大学入試で役に立つ資格を取得したいと考えた時,英検や漢検などのように多くの人が持っているような検定ではなく,持っている人があまりいない検定を取得したいと思ったからです。
 その中で中検を選択した理由は,当時,ある有名な観光地近くのお寿司屋さんでアルバイトをしていました。その店は,外国の方が多く来店し,中でも中国からの方が多く,店内には中国語のメニューがあるほどでした。時には簡単な中国語を使って接客することもありました。日頃から中国の方と触れ合う機会があったため,とても中国に興味があり,流暢な中国語で会話をしてみたいと思ったからです。
 高校3年生の時に2級を取得してからは,それで満足してしまって中国語の勉強をしなくなってしまいました。大学に入学後,中国語の授業を選択したことを機に準1級を取得したいと思うようになりました。そこで大学1年生の後期に準1級を受験しました。しかし,リスニング試験であと5点足りず落ちてしまいました。リスニングは得意だと思っていたので,まさかリスニング試験で落とされるとは思わず,とても悔しかったです。
 そのため,次の受験に向けてリスニング試験の対策を重視して勉強しました。主な勉強法は,まずCDを聞きながら問題を解き,丸つけをしました。最後にCDで流された中国語を全て書き写し,難しい単語や出題頻度が高い単語をまとめました。これをすることにより,書き取りの力を身に付けることができました。本番のリスニング試験では,1回目の受験時よりも15点ほど高い点数を取ることができました。
筆記試験は,ひたすら問題を解き,間違えたところを何回も解き直しました。また,学校の中国語の先生の勧めで,自分用の類語辞典を作成しました。そのおかげもあり無事に合格することができました。
 今の力ではまだ1級に合格することはできないと思うので,これからは日頃からコツコツと単語を覚え,中国語の本を読んだり,中国に行ったりして中国のことをもっと詳しく知り,いつか1級を取りたいと思います。

準1級に合格できて

大阪府立四條畷高校 姜 政昊

 私は9歳までずっと中国に住んでいました。両親の仕事の関係で小学校から日本に来ましたが,全く日本語に接したことがなかったため,毎日専ら日本語の勉強しているうちに,ただでさえまともに勉強していなかった中国語がどんどん書けなくなりました。
 漫然と中学校に入ってから中国語を勉強しようと考えていましたが,予想外に英語学習にはまり,毎日英語に没頭しているうちに高校生になりました。1・2年生では,色々な英語のスピーチコンテストに参加し,中国語のことは忘却の彼方にありました。そろそろ3年生になろうとしていたそんなある日,某東京の私立大学の英語の問題を解いてみたところ,正答率が3割しかとれなかったことに意気消沈しました。
 そこで,自分は中国語もある程度できていたことを思い出し,3年生になる前の春休みのうちに勉強したらどれくらいできるだろうという気持ちで勉強を始めてみたところ,四字熟語(成語)があまりにも面白く,中国語にはまっていきました。そして3年生になり,中途半端に英語で受験するより,この1年間中国語を全力で勉強し,完璧な状態で中国語での受験をしようという大胆な発想を思いつきました。
 決めたからにはすぐ行動に移し,書店で色々な中国語関連の参考書を見比べました。最終的に『合格奪取! 中国語検定準1級・1級トレーニングブック 一次筆記問題編』(アスク出版)を購入し,毎日机に向き合い勉強しました。中検を受ける方であればぜひ勉強していただきたい1冊です。最大の特徴は解説の詳しさです。正解の回答だけではなく,全ての選択肢の語句のピンインや日本語訳が書いてある上に,例文中にある難しい表現もきっちりと説明が書いてあります。
 リスニングに関しては,教材を買わず,暇さえあれば中国の有名番組“ 非诚勿扰“を毎日視聴し,司会の孟非さんの言葉を聞きながら真似して喋っていました。
 準1級を受験するにあたり,一番心配していたのがリスニングでした。実際受験して,ディクテーションは思っていたより遅く感じました。リスニング終了後,解答用紙はすぐに回収されるため,ぜひ迷わずに早めに解答を書いてください。二次試験に関しては,前もって何が出題されるかを考え,自分なりの答えを作っておいた方が良いです。
 4月に過去問で合格最低点に達することができず,かなり心配していましたが,地道に努力していたら合格することができました!本番で総合9割5分近くの点数が出せるようになったことで自信がつきました。今年の11月に行われる1級にもチャレンジしてみたいと思います。皆さんと共に頑張ります!

中検1級一次 筆記試験について

崔 英花

 来日6年目となる中国人の私が,中検1級を受けてみたいと思った理由は2つある。まず,中検の1級を持っていると通訳案内士試験で中国語が免除になるため,一種の試験対策である。もう1つは,二次試験では高度な翻訳・通訳能力が問われるため,日ごろ翻訳をメイン業務にしている者として,翻訳能力を一度客観的に測りたかったからだ。
 現在,私は一次試験を無事クリアし,二次試験に備えている最中である。
 中国語ネイティブとして一次試験の筆記試験で感じたことを記してみたい。まず,試験の内容面において,中検は実用的なコミュニケーションに加え,幅広い知識や教養を問うものが多いことである。例えば,四字熟語や慣用句の出題が非常に多い。四字熟語や慣用句は,簡潔な言葉で多くの意味を伝えることができるため,ドラマ鑑賞や人の言葉を理解する上では非常に役立つ。一例をあげると,今回の試験に出てきた“ 打秋风”(金品をねだるという意)という言葉がある。恥ずかしながら,私がこの言葉を知ったのはつい最近のことなので,試験で正解を出すことができたのは実に運が良かったと言えるだろう。私は日ごろ,中国の大手カルチャーメディア“十点読書”のウィーチャット(微信)公式アカウントで提供されている音声番組を愛用している。19年5月9日に,“ 婉兮清扬”という作者が発表した《<红楼梦>里最值得学习的人,居然是她というタイトルの文章の中に,“贾母本就不太待见大儿子夫妇俩,更何况打秋风而来的穷亲戚?”という一文があった。前後の文脈から,“ 打秋风”のおおよその意味が分かり,面白い表現だなあと感心していたところに,今回の出題があったわけである。語学の習得に当たり,日ごろからたくさんの文章を読んでおくことがいかに大事であるかがおわかりいただけるのではないだろうか。
 次に,試験対策について述べたい。私はこのたび幸いにも,すべての選択問題で正解を出せたので,最後の日中・中日翻訳でいくつかミスが出たものの,辛うじて合格することができた。中検の存在を知ったのは10月24日,一次試験実施日はちょうど1か月後の11月24日だった。準備の時間もほとんどなかったため,出題形式の確認は第93回試験を解いてみただけで,特別な試験対策はできなかった。このため,本番では翻訳問題を全部意訳で済ませてしまった。後で模範解答を確認したところ,解答例はどれもかなり直訳寄りであったため,「それを知っていたら…」と悔しい思いをした。
 最後に,筆記試験の難易度について書いてみたい。私は中国の4年制大学を卒業したが,入試の際の国語(=中国語)の点数は合格者平均レベルであった。しかし,パソコンや携帯の多用で字を手書きすることが減っている今日において,漢字を正しく書くことがまず難しかった。そうした意味からも,中国語ネイティブにとっても,この試験に合格するのは決して簡単とは言えなかったというのが本音だ。